出力の強弱、速度調整し、適当なパラメータを見つけてこれを繰り返すことで切断や彫刻していく。木材は一つ一つ木目の向きや、年輪幅、角度、樹脂の量、乾燥度合いなどが違うので、同じブロックから木取りしたものなら調節もしやすいが、それぞれ違うブロックから集めた木っ端や板などに彫刻する場合、テスト彫刻する時間と手間は馬鹿にならない。これをCO2レーザーでまずテスト、位置合わせ、本番彫刻ということを繰り返すと一つのものが完成するまでに膨大な時間を要求される。皿などの場合、1工程が終わるまで待つ時間と、更に色や深さを調節する必要があれば、完成までの時間は考えたくもない。
これまで数十分から1時間かかっていた作業が、借用したF1ではものの5分もかからず終わってしまい、あっけなさを感じるほどであった。これは凄い。
難があるとするなら、炎検知機能がとても敏感で作業が止まることは一つのデメリットである。屋久杉は特に樹脂が多く煙や炎が立ちやすい。感知センサーをオフにすることで解決はできるが、安全装置を付けている意味がない。煙や炎検知を避ける方法としては出力を下げて速度を上げて繰り返すこと、すなわち薄く早く彫刻することを何度も繰り返すというやりかたでで弱点は克服できる。材料の選別は時間短縮に有効な手段である。似たような条件の材料を集めて一気に彫刻することで効率も上がる。
CO2レザーは切断面の焦げを軽減すると同時に切断応力を上げるために、レーザー照射と同時にエアポンプで空気を放出し、煙や炎を吹き飛ばすエアアシスト機能を標準装備している。しかしF1などガルバノ式レーザーにはエアポンプが取り付けられないので煙や炎を吸い出すしかできない。
屋久杉は大量の樹脂が厄介で、焦げると同時にヤニが出てきて、彫刻した周辺に火種ができるほど焦がし、小さな文字は判別不可となって損品になる。なので薄く早くを素早く繰り返して目的の色や彫刻の深さを彫刻することになる。その場合重要なのは繰り返しの精度である。今あるCO2レーザーでは数回、数十回の頻度で原因不明の数ミリのずれが生じる。おそらくベルトを駆動するギヤ部分に異物がはさまっているとか?カケがあるとか?なのに発生頻度に規則性は発見できていない。左右のズレの大きさはほぼ一定なので、原点を認識するセンサー周辺に問題が生じているのであろうか?
この状態で同じ作業を繰り返して色や深さを調節するのはとても危険で、もしそれが起きたらと思うとハラハラドキドキである。常時目視で確認し、ズレたときには停止させ、再起動し、位置合わせからやり直すしかない。低価格商品を複数個同時に作る時にずれが発生した場合はあきらめもつくが、これが高価なオーダー品などに彫刻をするときは緊張が半端ではない。レーザー彫刻のずれは=損品の発生、そして一からの作り直しである。失敗が許されない工程というのは本当に心臓に悪い。
試用することで問題と解決策はある程度目処がついた。